クリプトコリネ・シュルツイは主にマレーシア・ジョホール州の森林地帯に生育し、ジャングルの奥深くの泥炭湿地から山地を水源とする細流に生育する小型のクリプトコリネである。
生育土壌は林床の落葉堆積土や粘土質の土壌、砂礫の土壌など様々で幅広いが、草体は全体的に小型で、根系もそれほどは発達しない。
クリプトコリネ・シュルツイは時としてクリプトコリネ・ヌーリーと混成するが、群落は別々の場所に形成し、流れの速い場所をヌーリーが占拠し、淀みや支流部など比較的流れの遅い場所にシュルツイが群落を形成する。
Cryptocoryne schulzei de Wit
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Kingdom (界) Plantae
Division (門) Spermatophyta(Magnoliophyta)
Class (綱) Monocotyledonrae(Liliopsida)
Order (目) Alismatales
Family (科) Araceae(the Arum Family)
Subfamily (亜科) Aroideae
Tribe (連) Cryptocoryneae
Genus (属) Cryptocoryne
Species (種) Cryptocoryne schulzei
Variety(var.) (変種) None
Synonyms: None
Distribution: Johor, Peninsular malaysia and Sumatra
Known natural hybrids: None
Typical habitats: Peat swamp forest. Likes humic acid and soft water
クリプトコリネ・シュルツイの花
花期になるとロゼット葉rosette leafの生長点growth pointより花芽flower budを上げる。
通常クリプトコリネ・シュルツイの仏炎苞spatheの筒部tubeはあまり長く伸びず、約4㎝前後、水中株でも7㎝ほどである。筒部はゆるくねじれる。
舷部limbは主に黄色みがかっておりとても美しいが、稀に緑色や白色個体も存在する。舷部limb表面には細かい凸型のテクスチャーがあり、舷部limbの先は長く伸びるものもある。喉の部分は赤紫だが、グラデーションになっており、筒部tubeやケトルkettleの中は白色で中まで赤紫になることは無い。
クリプトコリネ・シュルツイは例外なく虫媒entomophilyで閉鎖花cleistogamous flowerを持たない。開花すると、魚の腐敗臭のような匂いを放ち花粉媒介者pollinatorを仏炎苞spatheの中へと誘い込み受粉するが、匂いはそんなに強くはない。
蕾は小斧状をしておりクリプトコリネ・ヌーリーに似ている。仏炎苞の壁が薄いための内部の色が透けて見える。
自然下の安定水域では太陽光を感じて花を咲かせており、陰性なパッチよりも、木漏れ日の下などのパッチ、花期に陽性部分になるパッチのほうが花を咲かせる傾向にある。
乾季で水が引くと、よく成長段階でミズメイガの一種から食害を受ける。蛾の幼虫はクリプトコリネ・シュルツイが蕾の段階でケトルkettleに円形の穴を開け、侵入して子房や胚珠などを中心に食い荒らされる。
クリプトコリネ・シュルツイの葉
クリプトコリネ・シュルツイの水上葉emergent leafは卵型ovateで先端は鋭形acuteであることが多く、縁は深波状sinuateだったり全縁entireと比較的のっぺりとしている。主脈main vein、側脈lateral vein、細脈veinletに色がのることがあるが、あまり盛り上がることは無く、葉の表面はつるつるとしている。
葉は通常グリーン～茶褐色、黒赤色で、葉の裏は白色のような明るい緑色から赤紫色に至るまでさまざまなバリエーションがあり、通常葉身は4㎝～8㎝と小型であり、厚みも少ない。
水中葉submerged leafは卵型ovateで先端は鋭形acuteであることが多く、縁は全縁entireであることが多い。主脈main vein、側脈lateral vein、細脈veinletは盛り上がらない。葉長は4㎝～8㎝と小型である。
主脈main veinや側脈lateral veinに沿って赤色や緑色、黒色の斑点が入り虎斑模様となることがある。
クリプトコリネ・シュルツイは地上茎の基部の節から葉を出しているのが普通だが、時として株が大型化すると、地下茎が伸張し、その節から葉を出しているいわゆる間延びした株も見られる。
クリプトコリネ・シュルツイの根系root system
本種はピートスワンプの柔らかい土壌や、ほかの樹木の根などに着生することがほとんどであるが、時折砂礫などの地盤の固い場所にも生育する。
地下茎underground stemは塊根root tuberより不定根adventitious rootを出し展開するが、あまり深い場所までは根を張らず、匐枝stolonを多く出し、群落を大きくすることによってお互いを支えあうような傾向にある。
匍匐根茎creeping rhizomeの節nodeや塊根root tuberからは匐枝(ストロン)stolonを出し、先端の芽はロゼットや葉束をつけて、節間ちぎれると独立した植物となる。世代を重ねて古くなったストロンは独立する。
クリプトコリネ・シュルツイは株がある程度成長すると匐枝(ストロン)stolonを出し、周囲に沢山の子株を作り群落を形成する特性があるため株と株の間隔が短く、詰まった群落を作るという特徴がある。一面に群落を形成したシュルツイはとても見ごたえがある。クリプトコリネ・シュルツイは虫媒entomophilyで種子を形成するが、主として栄養繁殖vegetative reproductionにて匐枝(ストロン)stolonを出しラミートrametを増やしながら群落形成を行う。
不定根はあまり深くまで張ることは少ないため、匐枝(ストロン)stolon同士のつながりや、他の樹木にうまく根を潜り込ませることによって水の抵抗から体を支えている。
本種はあまり水深の深い場所を好まず、常に水深の低い場所や細流に生育し、陸上でも水中と同じように問題なく展開する。
クリプトコリネ・シュルツイは植物体が小さい事や芳香も弱いため、花期になると一斉に花を咲かせ送粉者をおびき寄せるが、大群落から一斉に花をつけている姿はまるで森の妖精が踊っているかのようでとても美しく、可憐である。
